この話は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名、一部の会社名は架空のものです。
更新は月、水、金です。
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「マイングループの健康食品の話を始めます!」
斉藤さんは非常に明るいテンションでそう言った。
そして僕にパンフレットを見せてくれた。
《キトサンパワーで、
末長い健康体を作る~~》
そんなキャッチコピーから、
さまざまな健康食品と、
会社がいかにみんなのためを考えてるか、
地域の貢献を考えてるか、
そんなことが書かれている。
地元の市役所にあるパンフレットよりも、
お金がかかってる本格的なもの。
鈍い僕もこの辺で、
本格的に気づいた。
(これは…たぶんマルチ商法の勧誘だ)
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幸い、
基本的な知識だけは既に仕入れていた。
- ナニワ金融道 (1) (講談社漫画文庫)/青木 雄二
- Amazon.co.jp
現実社会のお金の裏の部分を、
赤裸々に書いてる、
マンガにしておくのがもったいないくらいの、
実世界に役立つ教科書。
消費者金融、保証人、選挙、
取り込み詐欺、ビル占有、
借金のカタにソープ、先物取引等、
さまざまなテーマで登場人物が沈んでいく。
その中にマルチ商法のエピソードもあった。
もちろん、本音で非常に役に立つ話。
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(マルチ商法の場合、
商品自体はあまり重要じゃない…
普通じゃちょっと手に入りづらい物を、
高めの金額に設定して、
そして商品を大量に仕入れさせるのが目的なんだ…)
↑より詳しく知りたい人はこちらへ。
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というわけで、
この時点で気づいているんだから、
ここで帰ることも出来る。
でも、せっかくだから、
ダマサレタと思って話くらい聞いてみるか。
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斉藤さん
「キトサンは蟹から取れる、
人体への融和製の高い栄養素で…」
「知ってます。
健康食品には興味がありますので」
本当に知っている。
- まんがサイエンス (ノーラコミックスDELUXE)/あさり よしとお
- Amazon.co.jp
子供向け雑誌に連載されてる、
科学マンガで、大人が読んでも結構面白い雑学物。
何巻かは忘れたけど、これでキトサンは知っていた。
「ご存知でしたか!
健康に対する意識が強いようで何よりです!」
もうこの辺の話術も読める。
知識が薄い人ならもう雪崩のように言葉をぶつけて、
良い点を強引にぶつけていけば良いし、
知ってる人相手ならさらっと説明して…。
とにかくどちらの場合でも、
契約に話を持っていくんだ!
「~~~~~~~
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~~~~~~~~」
斉藤さんの話が続く。
その間、宇津木はたまに相槌を打つか、
「コレは良いものだよ!」とか、
当たり障りの無い宣伝を口にするだけ。
完全に主導は斉藤さんだ。
飽きてきたので、
契約に必要な金額を聞いた。
斉藤さん
「30万円で始められます!」
たけーよ。
続く。