・目次
・会社名 登場人物名は仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ありません たぶん
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【完全歩合】
【交通費は成績上位者のみ】
【社会保険一切なしの請負】
………あれ?
海外研修って、なにさ?
中村さん。
「このイッパ・クレストは全世界に支部があるんで、
他の国にいる営業さんの活動を見に行くんだよ。
俺もオーストラリアとか、アメリカとか色々行ったよ!
しかも会社が全額費用出してくれんだぜ!」
この会社、
掛ける費用明らかに間違ってるよ!
海外研修があるようなところは、
福利厚生がしっかりしてると思ったけど。
逆だった!
海外研修以外なんも無いじゃないか!
「海外研修楽しいぜ!
結局こういう仕事は、
どこの国でも同じなんだよ」
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会社は横浜だが、
今回の営業先は横浜から北隣の市、
川崎の外れ。
僕。
「何でそんな遠くまで…?
横浜はダメなんですか?」
「横浜市は先にサービスが始まったから、
もう、行きつくしちゃったんだよ。
だから、今はみんな横浜から外れているんだ」
現在、牛丼屋で打ち合わせ中だけど、
もう一組別のリーダーの組が来ている。
そちらは、横浜の南隣の市横須賀に向かう組。
僕は横須賀市の人間なので、
そちらの方が土地勘があるけど…。
「じゃあ説明はこんなところで、
川崎へ向かおう!」
まぁ、横須賀に行きたいなんて、
口には出せない。新入りなんだから。
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電車の中は本当に楽しい。
社員のみんなエンターテイナーばかりで、
話をどんどん盛り上げてくれる。
中村さんも、
僕が今まで勤めてきた会社の中で、
「理想の上司」の上位に入る人。
重要人物なので外見を詳しく描写すると、
「ひげを生やして日焼けした長瀬智也」
「俺には独立するっていう、
夢があるんだ…」
そして営業先の川崎の某所。
ちょっと工場地帯っぽい、
雰囲気のある寂れた街並み。
他の人たちとは別れ二人きり。
「じゃあ地図を見て…
1丁目~3丁目は全て回ったから、
今日は4丁目からだ
しばらく歩くぞ」
結局始業の時間から2時間たち、
やっと、目的地に着いた。
「今日は俺の営業を見ていてくれ」
そして、
中村さんの快進撃が始まった。
続く。