・目次
・会社名 登場人物名は仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ありません たぶん
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水色【布団販売の人】
緑【頼れる上司中村さん】
黒【新入り訪問営業人の僕】
「俺?布団の訪問販売やってんだけど」
「俺たちはこういうものです」
と、名刺を渡して、
自分たちの仕事を話す中村さん。
この辺は、前回記事で書いてきた内容と、
ダブるので省略。
「へー。おたくらは、電話営業か~」
やさぐれた【劇団ひとり】みたいな顔をしてる、
布団のひとは、
だいぶ打ち解けてくれた。
そして、中村さんの質問にも答えてくれる。
雨は避けれる場所なので、
一休み感覚で話に付き合ってくれてる。
「あっちの方にワゴン車見えるだろう?
あれが会社から支給されてる社用車だよ。
アレに布団が入ってるんだ」
「待遇はどんな感じなんですか?」
「悪くはないよ……いや、無かったよかな。
寮に入って給料35万だったのが、
最近25万までしか保障されなくなったからなー。
あ、あくまで最低補償額ね。
あと、車のガソリン代は全部出してくれるよ。
寮費も全額出してくれる」
イッパ・クレストと雲泥の差ではないか。
「ただ、本当に獲得が難しいんだよなぁ…」
「最後に聞きたいんですけど、
布団って詐欺……ていうか、
ちょっと値段高めにしてるってよく聞きますけど、
実際の所、どうなんでしょうか?」
「(苦笑い)いや~…、まあ~。
そのへんは想像にお任せするよ。
じゃあ俺の名刺。
そろそろ仕事戻るわ」
「何かあったら連絡くださいねー」
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「色々話を聞けて楽しかったですが…
何で声を掛けたんですか?」
「ああ。引き抜きのためさ」
!!!!!!
そういうことだったのか!
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どうも。2008年の僕です。
この辺、当時はわからなかったけど。
どうやらイッパ・クレストの仕組みは、
マルチ(まがい)商法みたいな組織図のようで。
報酬は確かに一件¥3000とか¥2000なんだけど、
出世してリーダーになると、
部下の件数に応じて報酬が増やされる仕組みだった模様。
だから、
下済みは本当に悲惨なんだけど、
出世するととてつもなく収入が上がるわけ。
中村さんはこの時点でリーダー長かったわけだし、
部下の獲得本数を収入に上乗せできる立場だったはず。
だから、
優秀な部下を求めて、
こうした声かけもしてたわけ。
部下の稼ぎが自分の稼ぎに直結するのよ。
あと、獲得した本人には一件¥3000だけど、
クライアントから会社には一件に付き、
¥4万~¥6万くらいの報酬が、
振り込まれている(はず)。
会社は交通費も払わないで元手をかけてない。
大黒字になっている。
その分、がんばって成果を残したリーダーに、
多めに分配するのだ。
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で、結局布団のひとは、
うちの会社に引き抜けなさそうだ。
まあ、どう考えてもあちらの方が待遇良いもんなぁ。
↑彼はどうだったのだろうか。
たぶん、クロだったと思うな。
で、僕は本日もまだゼロ件。
研修一日+営業三日目で四日目なのに。
続く。