・目次
・会社名 登場人物名は仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ありません たぶん
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金曜日。
月曜日から勤務してるから5日目。
朝、いつもの営業報告会。
相変わらず異常なテンションで空気がおかしい。
で、このとき気づいた。
【新人がいない…】
この会社はシフト制じゃないんだから、
基本的に全ての人が朝にいるはずなんだ。
でも、いない。
火曜にいた新人もいない。
水曜にいた別の新人もいない。
中村さん
「どうやら、一日で辞めたみたいだな」
ま、僕だって、
切羽詰ってなければ辞めたいし…。
確かに中村さんは良い人だけど、
それだけじゃなぁ…。
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関西から来た大阪弁男性西浦さん。
たまに川崎の営業場所まで一緒に行くけど、
後は別行動。
坊主頭の人懐こい話し方が特徴の、
エンターテイナー。
この会社の人は話が面白い人ばかりだよなぁ。
西浦さんは中村グループの模様。
指示に従っている。
中村さん。
「今日西浦君には、
オフィス営業やってもらおうと思ってるんだ」
西浦さん。
「ああ、あれですね。
お菓子の営業っすね。
初挑戦だけどうまくいくかなぁ…」
?
西浦さんは別ルートですぐにいなくなった。
中村さんに電車で詳しく聞いた。
「うちには幾つか商材があるんだよ。
いま、一番力を入れてるのは、
直収電話だけど。
こっちはお菓子メーカーの営業で、
オフィスが対象なんだ。
西浦君は、今日は横浜のオフィス街に向かうんだよ」
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2008年の僕ですが。
ちょっと前まで一流企業の、
ネットと電話を扱うコールセンターにいたんだけど。
そのオフィスに、
このお菓子セットが導入されてた。
仕組みは無人販売所。
お菓子とお金を入れるところがある、
ラックを設置して。
一つ100円で、
そのメーカーの菓子を好きに買える。
クッキー、ガム、チョコレート、
ポテト、バランス栄養食など。
でお菓子メーカーは、
定期的に集金とお菓子の補充に伺うというシステム。
大概のオフィスはジュースの自動販売機はあっても、
お菓子はない。
そのため、需要としてはあると思う。
僕もコールセンターのときお世話になった。
で、たぶん、契約金とかはない。
お菓子メーカーとしては、
置いてもらえれば利益の出るものだから。
ローリスクローリターンの無人販売所。
↑そういったお菓子サービスを導入してる会社の例。
画面下の方に「オフィスロッテ」と「オフィスグリコ」の箱がある。
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「中村さん。このお菓子営業の
報酬っていくらなんですか?」
「¥1500」
安い……。
で、本日の僕たちは
>>早送り>>
中村さん。
「ご苦労様~。
なんだったら明日の土曜日も出勤するかい?」
冗談じゃない。
こんな疲れる仕事休日出勤してられるか。
「今、日給1万保障だし得だと思うけどな~。
俺は今週ちょっと目標に足りなかったから、
出ることにするよ」
中村さんは完全歩合なので、働くことは自由。
「中村さん大丈夫ですか?
いつも朝早く来て、
夜は報告書書いて遅く帰って。
朝飯は牛丼。
昼はコンビニ。
夜も適当に外食ですよね」
「確かに身体は大変だけど、
今、大事なときだから妥協したくないんだよ」
………大事なとき、か。
頑張りすぎだと思うが…。
労働基準法なんて存在しないし。
一日14時間くらい働いてるだろうし。
僕は改めて断った。
土日は休む!
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月曜。
西浦さん。
「金曜は一件しか取れませんでした…」
続く。