・目次
・会社名 登場人物名は仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ありません たぶん
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2週目の月曜日。勤務六日目。
職場。出発前。
西浦さんが一件しか獲れなかったってことは、
お菓子営業は相当に難易度が高いのだろうか…。
西浦さん、中堅どころの人で、
いつもそこそこの件数獲ってるし…。
中村さん
「西浦君。今日は門間さんの下についてくれ。
門間さんはお菓子営業慣れてる」
門間さん……初めて聞く名前だな。
別グループの人だな。
えっ!あのおじいさん?
60才を超えてるイメージの人だよね。
くたびれた坂本龍一のようなおじいさん。
今まで存在にも気づかなかった。
↑こんなかっこよくなかったけど。
「門間さんって、そんな凄い人なんですか?」
中村さん。
「ああ。彼は凄いよ。
今日もあの人の下なら西浦君も問題ない」
後日、西浦さんはお菓子営業を、
8件取れるくらいまでになった。
「門間さんは、
支店長がじきじきに引き抜いた凄腕なんだ。
確かに外見は劣化坂本龍一だけどな」
うん。
「直収電話で、
一日に12件の最高記録を出したのも門間さんだぜ。
【粘りの門間】なんだ」
「粘りの?」
「ああ。
【もう契約するから帰ってくれ……】と、
お客さんに言わせるくらい、しつこいんだ」
…………
…………それって。
門間さんと話してみた。
ちょっとゆっくりしたしゃべりで、
そこまで凄腕という感じはまったくしない。
しかし。
芸能人風で明らかに実力がありそうで、
実際に凄腕の中村さんと。
くたびれたおじいさんだが、
確実に結果を出す門間さん。
むしろ、門間さんの方が恐ろしいのではないだろうか…。
人は外見じゃない。
ちなみに西浦さんいわく。
「慣れたらお菓子営業の方が楽」だったそうだ。
まあ、報酬は半分なんだから、楽じゃなきゃ困る。
そして僕は未だに直収電話契約ゼロ件。
さすがにあせってくる。
続く。