・目次
・会社名 登場人物名は仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ありません たぶん
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【勤務七日目】
また新人が入ってきた。
完全にヤンキー風だ。
気志團のその他大勢みたいな人。
↑頭はこんなじゃないし、グラサンもないけど、
こんなイメージ。
まあ、別グループだし…。
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営業報告会が終わった。
中村さん。
「ちょっと今日の表彰について、
詳しく説明するな。
いろいろな設定をしてるんだよ。
【連日目標達成】とか【キャンセル率トップ】とかな」
!?
「キャンセル率トップで表彰されるんですか?」
「ああ。キャンセル率が高いのは、
【本当はやりたくない契約をその気にさせた】ってコトだから、
それはそれで高い営業力を持ってるということなんだ。
だから、報酬にはならないけど、
そういう人も評価するんだよ。
だいたい2~3万円くらいのボーナスかな」
この話の重要なことは。
・キャンセルされたら、通常の報酬は無し
このことの方がより重要なのではないだろうか。
ただでさえ報酬は少ないのにキャンセルで無し…。
無理やり獲得してもダメ…。
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現場。
最初の最初だけ中村さんと一緒。
「この家【訪問販売お断りします】ってシールがあるだろ?
これは無視だ。
いちいちこんなこと気にしてたらきりがない」
そうなんだ。
僕はこういうの気になるけど…。
気にするような人間は向いてないんだろうな、やっぱり。
>>早送り>>
現在別行動。
ちょっと高級住宅街っぽい。
一件一件の家が広い。
あ、犬がいる家だ。
僕は小さい頃、
犬を飼っていたじいちゃんの家に入りびたりで、
今も定期的に通ってる。
犬の匂いは染み付いてて、いつも飼い犬が寄ってくる。
犬の話から契約に持っていくのは成功率が高い!
まあ、まだ成功はしてないけど、
とにかく話だけでも聞いてもらえるきっかけになる。
まずは、犬に声を掛けて…。
「あらあらあら。大丈夫ですか?」
上品そうな年配のご婦人だ。
すげースムーズに話が進む。
これは初契約なるか!?
>>早送り>>
「中村さん……。
この辺、すべて三浦さんが、
契約し終わった後みたいですよ…」
「あれ!君の方もそうだったか。
ちょっとかぶっちゃったみたいだな」
「契約してくれそうな人二人とも、
もう、女の人と契約したって…」
「大幅に場所を変えるか…。
三浦はデキル女だから、
もう、残してるわけがない」
そう。一応地図でチェックしてダブらないようにしている。
しかし、結局大体の方向性を決めたら。
あとは無差別にチャイムを押していくだけ。
気づいたら、他の人がすでに営業済みの所にいても、
おかしくない。
まあ、時間帯によって出る人も違うし、
人同士の相性もあるけど、
もう契約済みの人が再契約してくれることは絶対に無い。
効率が悪いところに来てしまった。
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商店街を抜けて
川沿いの河川敷。
国道も近いようだ。
商店街にはゲーム屋があった。
寄りたいが…あからさまにサボりだな。
でも、本当にちょっと疲れてきたよ…。
しばらくチャイムを押してるうちに、
5階建てのマンションにたどり着いた。
珍しく屋上が解放されてるタイプ。
屋上から見下ろす。
「もういいや…」
サボった。
携帯電話で画像を取りつつ座って休んだ。
このときの携帯電話変わっちゃってもう画像無いけど。
残念。夕暮れの屋上は綺麗だったよ…。
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職場に帰ると、
あの新人ヤンキーに声をかけられた。
「始めまして!徳川っす。
yosiさんよろしくお願いします!
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yosiさん家どこっすか?」
「横須賀。〇〇線で帰る」
「じゃあ途中まで一緒っすね。
一緒に帰りましょう!」
契約を獲って無い僕には特に後処理も無い。
すぐ帰れる。
徳川君と帰るか。
続く。