・目次
この話は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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岩越店長から。
「なあyosi。
お金貸してくれないか」
終わりの始まりを告げる言葉が。
まずは詳しく話を聞いてみようじゃないか。
「いくら必要なんですか?」
「50万円」
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夜勤が日給一万だったことは前に書いたけど。
僕は、伊勢左木に来た当初は、
夜勤で週五日勤務。
月収は21万~23万。
6~7万は食費、国民年金、国民保険、携帯料金等で消えて。
3~4万が僕の小遣い。
残り10万程を貯金。
その暮らしを一年近く。
例の貸し金の踏み倒しもあったけど、
それでも100万円くらいの貯金が出来ていた。
ただ、その後、
夜勤の夜22:00~朝8:00の、
完全昼夜逆転暮らしが、
さすがに嫌になってきて。
時給は安くなり、働く時間は短くなったけど、
朝~夕方まで仕事する朝方の暮らしになった。
身体は非常に楽になり、
そしてそれ以降貯金は全く増えなかった。
その貯金の半分を貸してくれ、と。
僕はこのとき、貯金額をだれかれかまわず話してた。
そのことは同じくバイトリーダーの、
米川さんには「止めたほうがいいよ」と指摘されたけど。
今ならよく理由が分かる。
話してなければ、
最初からこんなこと頼まれないもんな。
まあそれはともかく。
もう過去は変えられないんだ。
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「じゃあ、適当なところで返してくださいね。
次回出勤するときに持ってきます」
「恩に着るよ!」
岩越店長は50代後半くらい。
ちょっと太目の狸親父みたいな体系だけど、
痩せれば結構かっこいいんじゃないかという元男前。
実際、若い頃の太る前の写真は、
ヤクザ映画に出ていそうなキリッとした感じ。
なんだかんだで3年間、
ちょっとイイカゲンな人と思いつつも、
相性はそれなりに合って、うまくやっている。
韓国パブへみんなで連れてってもらったこともあった。
恩返しみたいな気持ちもあり、
50万円の貸し出しをOK。
ただ。
前の二つの貸し金のように、
返ってこなかったらさすがに困る額。
自分なりに、対策は立てるべきだろうな。
続く。