・目次
この話は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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岩越店長にお金を貸して以来、
彼は僕に逆らえなくなった。
つまり僕は職場では部下だけど、
実際のところ株主みたいなもので、
僕に逆らえるはずが無い。
とはいえ、別に悪用する気はない。
僕は快適に仕事が出来てお金が返ってくればそれでいい。
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【深夜バイトの八重樫さん 40歳】
週六日働いている。がっしりした人。
「俺、家賃15万のマンションに住んでんだ!
そこに風俗嬢を連れ込むのが夢なんだ…」
意味が分からない。
週六日働いていても結局収入は25~27万。
そんな無駄遣いをしてる場合じゃないと思うんだが。
とはいえ、夜勤をやる人は、
ちょっと常識からずれてるような人が多い。
ましてやここは混沌の町伊勢左木町。
普通に出勤してくれるんなら文句は無い。
【大学生バイトのケン】
ケンは週三日くらいしか出れないけど、
仕事が一番できる夜のリーダー格。
彼が僕を認めてくれたので、
僕は朝も夜も実質管理下におけるようになった。
そのケンが。
「ガッシー(八重樫さん)さ。
いつもトイレ使ったあとむちゃくちゃ汚いんだけど」
………絶対に八重樫さん、
人間的に問題ありすぎるな。
店員が汚しまくってどうするんだよ…。
何とか我慢してよ、とはなして、
愚痴を聞く。
しかし、40歳の大人とは思えないひどい仕事っぷりの模様。
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【ある日の22:30】
その八重樫さんが。
来ない。
連絡も無い。
この伊勢左木町は、
夜でもお客さんが多すぎるし、
荷物も大量だから、
夜勤は二人いないと成り立たない。
岩越店長はもう、
ちょっと前に横須賀に帰ってる。
今職場にいるのは、
これから仕事の大学生のケン。
僕。
僕と同じくバイトリーダーの米川さん。
本日の出勤時間は。
僕【13:00~22:00】
米川さん【12:00~22:00】
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店の位置にもよるけど、
コンビニのピークはほぼ12:00~13:00
ここはオフィス街なのでその時間に、
昼休みの人が殺到するわけよ。
弁当弁当弁当&ジュース地獄。
しかしそれでも、
さすがに4人いれば充分。
レジが二つなので、
片方に二人ずつ。
今日はたまたま朝バイトが3人いて。
僕は昼ピークが終わってからの出勤だった。
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この一時間の差により。
本日のいけにえが僕に決定。
八重樫さんの代わりに、
夜勤も勤務することになった。
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普段夜勤のときは、
寝る暇なんてほぼ無いくらい、
お客さん&大量の荷物なんだが。
今日ばかりはケンの好意もあって、
チョコチョコ眠らさせてもらった。
だってさ。
19時間連続勤務だぜ…。
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八重樫さんは辞めた。結局その後二度と来なかった。
というわけで夜勤の新人を急募したんだけど。
まあ、いろんな人が来ること来ること。
続く。