・目次
この話は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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【50代の元スーパー経営者の男性猿宮さん】
今度の夜勤新人はまた、
全く今までになかったタイプの人だな。
ただ、コレくらいの年齢の人の話は、
ちょっと話半分くらいに聞いておいたほうが良いのかも。
今考えると、八重樫さんの「15万のマンション借りてる」は、
ただの見栄でウソだったっぽいし。
でも、ケンやカッチャンの意見を聞いてると、
さすがに元スーパー経営者というのは伊達ではなく、
きちんと仕事をするし、早く終えるそうだ。
ただ、「コレはこうしたほうが良い」という、
理屈が先に立ってしまう。
また別の意味で問題を起こす人だったが、
今までの問題に比べれば軽い軽い。
やっと夜勤も落ち着いてきたな。
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今日も猿宮さんの愚痴を聞いてる僕。
「折沢はひどいな…コレだけ仕事残ってるのに、
あっさり帰っちまうし、仕事中もサボることしか考えて無い
クビにしちまったほうがいいんじゃないか?」
「あんなでも前の夜勤よりマシなんですよ…」
「なあ、yosiが夜勤やればいいじゃないか。
お前といっしょなら気持ちよく仕事ができるよ。」
「いや…すいません、もう夜勤はやりたくないんですよ…。
完全昼夜逆転はキツイ…」
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「俺んちさ~。奥さんが月収60万稼いでくれるから、
おれは本当はここまで働くなくてもいいんだよな。」
「え!奥さん何やってるんですか?」
「英会話教室講師。
奥さんニュージーランド人なんだ。
22歳」
おまえどこでそんな小娘を手篭めにした。
猿宮さんは完全にくたびれまくった痩せ親父。
イケメンには程遠い、ある意味経営者顔。
そんな50代の親父が22歳のニュージーランド人を?
もうなにがなんだか…。
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しかし長く一緒に仕事してると考えも変わってきた。
猿宮さんはちょっと堅苦しすぎるけど、
考えに一本筋が通っているんだ。
スーパーはつぶしてしまったけど、目の輝きは消えてない。
この人なら頼りになると、
奥さんが考えるのも分かる。
コンビニの夜勤はあくまでも、
次の商売の足がかりとして考えている模様。
本当は奥さんの稼ぎで充分食えるのに、
老体に気合を入れて働いてるのは目標があるから。
なるほど。
尊敬できる人かもしれない。
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そして尊敬できないわれらが岩越店長。
お金を貸してから数ヶ月が過ぎて、
状況を観察して、
やっと、僕にお金を借りた理由が分かってきた。
続く。