・目次
この物語は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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平和と崩壊が同時進行中。
今回は中間。
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大学生で夜勤リーダーのケンが、
ある日、僕にそっと教えてくれた。
「アキマサさん、昔バイト仲間だった、
大学生のアイツに、
30万貸してるらしいよ」
大学生のアイツか。
【今回限りの登場なので名前なし】
僕がクビにした奴だ。
クビにした理由はあんまり覚えてない。
素行が良くなかったぽいという感じだったが、
その後、大学生のアイツをクビにしたあと、
ダメ40代八重樫さん、パク君、折沢君とロクデナシばかり続くので。
【ちょっと素行が悪いくらい】でクビにしちゃだめだな、と、
その後思い知ることになった。
そもそも伊勢左木店に配属されたときの僕は、
そんなに仕事できるわけでもないのに権限を持つ、
店長の腰巾着みたいなものだ。
えらそうに人をクビにできる立場じゃない。
でも、店長はあっさり受け入れてクビにした。
僕はそれなりに店長に信用されていたんだな。
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で、そのことは置いておいて。
「大学生のアイツ、
辞めたのも1年以上前だし、
2か月くらいしか来てなかったよね…
アキマサ、まだ付き合いあったんだ…」
「なんか、アキマサさん、
アイツに懐かれてたみたいだよ、
それで、30万も貸しちゃっただってさ。
で、もう何ヶ月も返ってきてないってさ」
似たような話を、
つい最近、自分自身で体験してるよな僕。
うすうす感じてたけど。
僕とアキマサは似てる。
外見とかじゃなくて、
社会的な立ち位置が。
真面目で空気読めなくて、
人に何か頼まれると断りきれなくて、
普通の人が当たり前に出来ることができなくて、
その代わり、出来ることは人並み以上にできて。
そして
それぞれ大問題を抱えてる。
アキマサは【対人恐怖症】
いらっしゃいませが言えないし、仕事仲間とも片言会話。
でも仕事は速いし真面目だ。
僕は【仕事の極度の遅さ】
3年勤務してるけど、初日のバイトよりも荷物整理が遅い。
もはや僕の潜在能力の問題で、改善できるレベルではない模様。
でも、レジと発注が出来て真面目だ。
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その似てる立場の二人が、
共に、相手は違えど人にお金を貸してる。
その状況で、岩越店長に給料を遅延されて、
一円も収入なし。
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「アキマサ。アイツに金を貸してるって本当?」
「ああ…。返しテくれないね…」
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記事書いといて無責任だけど、
実際、アキマサの30万が返ってきたかは知らない。
ただ、ケンがちょっと知識を貸してあげたと言ってたので、
返してもらってたと信じたいが。
僕はこのとき、
申し訳ないけど人にかまってる余裕はなくて…。
30万の件は全くノータッチ。
ただ、アキマサのためにも、
給料の遅延の件を何とかしようと思い立ったのも、
このときだった。
しかし実行まではあと二ヶ月ほど時間があるので、
また平和なエピソードを交えつつ、
時間経過していきます。