・目次
この物語は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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木下さんが語ってくれた、
スーパーの仕事内容。
「yosiさんでしたら、
たぶん、グロサリーの部門ですね。
スーパーは一度入ると部門が変わることは、
基本的にありません」
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コンビニでも、
僕が一番最初に発注をしたのは、
グロサリーだった。
冷凍食品とかアイスとか、
そういう部門で、
消費期限的に一番融通が利く部署。
それでも注文をとりすぎたら、
色々問題はあるけど、
毎日が消費期限との戦いである、
生ものやパンとかに比べればとっつきやすい。
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僕
「魚さばく部署とかもあるんですよね?
不器用な僕は多分本当に出来ないんですが…」
木下さん
「まず無いでしょう。
いきなり素人をその部署に行かせません。
コンビニ経験があることからも、
まずはグロサリー担当になるはずです」
「スーパーの仕事ってどんな感じですか?」
「あまり良いもんじゃないですね…
土日は絶対に休めないですし…」
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僕が犯してるミスにお気づきだろうか。
それはもちろん、
【辞めてる人に、
これから行こうとしている企業のことを、
詳しく聞いてる事】
マイナス方面の話をするに決まってるじゃないか。
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このときの僕は、
自分が就職氷河期の、
ワーキングプアだということを
全く自覚していなかった。
だから、マイナスの話を聞いて、
そのまま普通に、
じいちゃんの話を断った。
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しかしここが重要なんだけど、
特に後悔はしていない。
だって、ここでスーパーに勤めてたら、
今の僕はいないもん。
さまざまな仕事に就いてはつぶれるか挫折して、
それでもそれなりに頑張り続けた、
僕の人生は。
まあまあ誇れるものだと思ってる。
ただ、もし今この誘いがあったら、
受けることは間違いない。
2流企業のスーパーの正社員はやはり大きい。
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そしてもう一つ。
つまり、このとき僕は、
【まだコンビニを辞める気は無かった】
3月あたり平和な描写が続いたけど、
それだけ大事な仲間がいる場所。
給料の遅延や店の崩壊ぐらいと思ってた。
続く。