この物語は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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給料の遅延の件を、
経営者の岩越店長の立場に立って、
考えてみると。
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金のやり繰りというのは、
うまくいってるときは問題ない。
しかしうまくいかないときは、
まずは支払うお金に優先順位をつける必要がある。
A 本部に納めるお金
B 会社名での借金 銀行
C 自分個人での借金 サラ金
D 従業員の給料
こんな感じで。
例えば、
絶対最優先しなければいけないのは、
本部のお金。
これを遅延したら店が終わる。
【店が終わったらお金が回らなくなるから、
ゲームオーバー。
その時点で借金があればその全額を、
無職の夫婦二人が払っていかなければいけない】
↑つまり、この事態が最悪。
コレだけは防がなくてはいけない。
また、銀行もときには非情。
金利が比較的安い代わりに、
必ず損をしないように担保等をとるから、
銀行の利子の支払いを目に余る遅滞をすると、
家や職場の土地が持っていかれる。
ただ担当者によっては、
その辺の厳しさが違うこともあるので、
場合によっては最優先の支払い対象ではなかったりする。
そしてサラ金、
個人的な借金。
これはあちら側としては、
生かさず殺さずが一番儲かるので、
利子さえある程度払っていれば、
全額をいきなり払えとはそうそう言われない。
ただそれに甘え、
借金が膨れ上がるんだなコレが。
借りるときの敷居は低いしね…。
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まあここまでが、
一般的に考えられる範囲での、
経営者の借金だな。
あとは親族や手形や闇金とかいろいろあるけど、
その辺の踏み込みは辞めとく。僕素人だし。
で。
給料は本来、
本部に納めるお金と同じ、
【最優先事項】
従業員に訴えられるに決まってるじゃん。
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だから岩越店長は、
人を選んで給料を遅延した。
僕、米川さん、アキマサは、
3人ともワーキングプアでコンビニが本職。
店長には恩義もある。
その恩義を利用した。
【こいつらなら待ってくれる】と。
実際、折沢君や猿宮さんは、
同じく本職組みだけど遅延してないんだから、
人を選んでいるわけだ。
こうして\250万のお金を手にした岩越店長。
しかし結局の所、
経営がうまくいってないときにお金を手にしても、
利子の支払いであっというまに無くなるだけ。
もしかしたら競馬に使ってたかもしれない。
典型的な破滅パターン。
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そして岩越店長の誤算は。
【僕がそろそろ我慢できないところまで来ていた】事。
30代前半の米川さん。
20代後半のアキマサ。
この二人と違い20代前半と若い。
感情の爆発は間近だった。
続く。