・目次
この物語は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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【2003年2月某日】
マキちゃんより聞きだした話により、
色々なことが判明。
「11月くらいには、
岩越店長が、
伊勢左木店に立ち入り禁止になって…」
……………
……………
……………はぁ?
自分の店で立ち入り禁止?
どういうことだ?
……………思い当たるのは……………。
さらにお金に手をつけて、
佐山バイザーが動いたって事かな。
そもそも、その引き金を引いたのは僕だし…。
「後は米川さん、アキマサさんが店を回してた。
本当に大変だったよ。二人とも休みなんか無かった」
…………。
「1月には、
伊勢左木店は別の店長が来て、
みんな面接したんだよ。
米川さんは佐山さんが別の店を勧めて、
そちらの店でリーダーになったって聞いたよ。
私は面接に受かってそのまま別の店長と働いてるよ。
別の店長の奥さん、すごいんだよ!
早速何人も万引き犯捕まえちゃった!」
ああ。
やっぱりそういうことだったのか。
万引き犯。僕ら誰も捕まえたこと無かったけど。
実際はいっぱいいたんだ。
それに気づかなかっただけなんだ。
だから伝票漏れを改善しても、
完全に棚卸し差異がなくならなかったんだな。
「もう、一年前のメンバーは、
ほとんど残ってないよ。
折沢さんもケンさんもカッチャンも、
別の店長になるときに辞めちゃったし。
ただアキマサさんは、
残ることを希望したんだけど、
別の店長が採用しなかったのよね…」
ナンテコッタイ。
アキマサは無職になってしまったのか!
折沢君は技術系の資格を持ってたから、
やる気さえ出せば仕事はあるし。
ケンは就職決定済み。
カッチャンももうすぐ大学生。
バイトくらい簡単に見つかるだろう。
今は髪黒いし。
でもアキマサは…。
岩越店長だからこそ重宝されたのであって、
普通の店長から見たら、
《いらっしゃいませ》も言えないバイトは困るもんな…。
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つまり、
僕が米川さんに連絡した2002年12月は。
もう岩越店長体制が崩壊してる、
そういうタイミングだったんだ。
そりゃあ、
僕の復職を断るわけだよ…。
続く。