・目次
・会社名 登場人物名は仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ありません たぶん
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【現場初日】
朝8時半に出勤。
会社は異様な雰囲気。
ここは完全に外回り営業の職場のため、
20人くらいいる社員はすぐ外に出る。
昨日は、支店長以外会ってなかったので、
わからなかったが。
全員分の椅子すらない殺風景の中、
床に直座りする、スーツの社員たち。
「ハイハイハイハイハイハイハイ!」
なんか始まった。
独特の拍手のリズムの元、
【先日の売り上げの報告会】が始まる。
全員が立ち上がり円陣を組む。
3件以上契約を取った人の名前が呼ばれ、
持ち上げられる。
そして中村さんは、
連日、名前を挙げられる、
優秀な営業ということが分かる。
「先日も5件獲得!
ナカムラ君サイコー!
イエーイ!」
目が笑ってない支店長が盛り上がってる。
………しかし何だこの体育会系の、
飲み会のような異様なノリは。
付いていけるのだろうか…。
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そして九時。
業務開始時間。
(注 さっきの営業報告会は時間外労働)
まずは近くの牛丼屋によって、
今日の営業ルートを決める打ち合わせから。
職場に椅子無いし。
社員はある程度グループに分けられているので、
牛丼屋に寄った時点で半分の社員は別のところに行った。
で、残り半分の社員でミーティング。
リーダーの中村さんを初めとして、
関西から来た大阪弁男性西浦さん。
東京から来たお調子者男性副リーダー荒川さん。
数少ない女性スタッフの三浦さん等、
皆さんの自己紹介。
そして分かったこと。
・最初の3ヶ月は日給1万を保障
・交通費も出る
後は完全歩合。
交通費は一日に特定の件数を取れば、
初めて支給される
3件目で¥300
4件目で¥600といった感じ。
社会保険は、なし。
僕らの立場は請負なので、
一人ひとりが代理店扱い。
そして直収電話サービスを、
一件獲得するごとに、
¥3000.
これが給料の全て。
つまり。
一日に3件は最低獲得していかないと、
交通費すらまともに出ず
生きていくこともままならない。
ゼロ件だった場合、
8時間働いた時間はムダで、
会社までの交通費と、
営業先までの交通費を失い、
収入ナシ。
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………ナンダコレ。
最低最悪の待遇じゃないか……。
しかし僕は今研修中。
今は出てるだけで給料をもらえる。
貯金も尽きかけている。
もう少し、この職場にいることに。
続く。