・目次
・会社名 登場人物名は一部仮のものです
・この話はフィクションです
実在のものとは一切関係ないという建前です
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【勤務10日目午後4時~】
消化試合。
すでにもうやる気は無い。
適当に散歩。
犬がいる家のおばあちゃんと仲良く話して、
さらっと電話の話をして興味もたれず営業終了。
アパートがあったので、
「人が出なければいいなぁ…」とか思いつつ、
勢いでチャイムを押して誰も出てこず。
あとは○△×を水増し。
そんなことをしつつ、
さっきの駄菓子屋前自動販売機にたどり着く。
「………あれから2時間は経ってるよな。
なんでまだ¥500が残ってるの?」
分かった。
ありがたくジュース代にさせてもらう。
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イッパ・クレストは、
やっぱりおかしい会社。
なにしろ、収入が低すぎる。
通常のネット、電話系の訪問営業の求人を見ると、
【給料25万保障+歩合給】でボーナス、
社会保険ありの正社員とか、
かなり優遇された待遇がごろごろある。
もちろんこういう会社はノルマ未達成時に、
ぼろぼろに言われるだろうけどさ。
チャイムをひたすら押していける根性があれば、
上司の説教なんか屁でも無いだろうし、
そもそも、イッパで件数少な目の人でも、
充分一流企業の訪問営業で通じると思うんだが。
でも。
イッパで働いている限り、
ジュース代すらケチる暮らしにならざる負えない。
契約獲れなければ収入ゼロ。それだけ。
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まわりがみんなそんな感じだったので、
僕も一日に3本ジュースを飲むとか、
そんな贅沢一切しなかったのよ。
昼飯のときに買うくらい。
春の日にコレだけ歩くとのどが渇くけど、
ペットボトルなんて贅沢品そうそう買えん。
でも、このときばかりは、
ペットボトルを一気に二本も買うという、
とんでもない贅沢をした。祝杯。
まあ誰かのお金を勝手に使ってるんで、
犯罪行為のような気もするが、
フィクションなので気にしない。
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そして午後5時になった。
しかし、中村さんに連絡すると、
「ちょっと遅れる」とのこと。
荒川さんや三浦さんも合流するので、
駅前まで行った。
そして、5時半くらいにみんな集まり。
まずは僕から中村さんに報告。
「結局さっきの奥様獲得できませんでした…。
ゼロ件です…」
中村さん
「そうか…ダメだったんだ…。残念だなー。
今日は俺も全然獲れなくて…。
一件だよ…」
え!?
続く。