・目次
この話は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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実は僕、
この伊勢左木店で、コンビニ勤務としては4店目。
1店目はガソリンスタンド付属のコンビニで、
下手すると4時間勤務で4人の客という店。
そりゃつぶれるわ。4ヶ月勤務。
2店目は、二日目で辞めたけど、
義理は通してるという珍しい例。
僕はオープン時に夜勤としてバイト入社。
ところが。
若いやり手の谷河原店長。
「いざ始めてみると、
夜勤は二人勤務ではなくて、
一人でも充分という結論になってね
夜勤、yosi君含めて5人いるけど、
全員のシフトをうまく組めそうもない」
それを聞いた次の日。
僕は、近くのライバル店である、
横須賀の岩越店長の店に面接に行った。
あっさり受かった。それが3店目。
その時、
谷河原店長は「辞めてくれてありがとう」と言ってた。
そして岩越店長の新店の伊勢左木で4店目、と。
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で。
谷河原店長の店は、
はっきりと「賞味期限切れの食べ物は持ち帰り不可」という、
ルールを決めていた。
他の店は全くそのルールはなく、
消費期限切れの食べ物は持ち帰り放題。
僕個人の意見としては。
【店の利益確保には、
谷河原店長の方針が正しい】と思う。
理由は、消費期限切れの食べ物が持ち帰り可能だと、
発注が大味になってしまう。
伊勢左木店は【おにぎり、お弁当、パン】は、
店長が9割、あとどうしてもやむ負えない日は、
米川さんというルールで。
この辺は僕は発注しなかったが。
僕はその次のサブ発注担当で、
デザートや惣菜等の、
【比較的日にちに余裕がある消費期限のある食材】は、
発注をしてた。
そうすると。
どうしても自分が好きなものに、
発注が多めになってしまうのよ。
当時、デザートに【¥380の生チョコ】があって、
僕はそれが大好きで。
結果的にいっぱい余らせてしまい、
よく持ち帰りをしていた。
つまり、
【店の利益<自分の利益】になってしまう。
あまり良くない。
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とはいえ、
谷河原店長の初日で、
大量の賞味期限切れた食べ物が、
ただ捨てられるだけというのも、
何か心苦しかった。
食べ物のゴミって今、
ちゃんと土に返れるか怪しいもんじゃん。
地球環境的には、誰かの腹に入ったほうが、
マシと思うんだよね。
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やる気のない折沢君は、
週4日の夜勤バイト。
彼は一人暮らし。
週4だと、だいたい15万~16万の月収。
そして彼は賞味期限切れの食べ物を、
毎回ほぼ全て持ち帰っていたので、
食費的には、随分助かっていた模様。
下手したら3食賞味期限切れのコンビニ食だったのでは。
折沢君みたいな人は、
谷河原店長の店では働かないだろう。
まあ、折沢君だったら必要ないけど、
他の優秀な人が辞めてしまうかもしれない。
【利益追求】が常に最善手ではない、ということ。
まあちょっと極端な例だけどね。
でも、人間は機械じゃない。
《目の前に大量の捨てられる食べ物がある》んだから、
持ち帰ろう、持ち帰らせようという考えがやはり通常と思う。
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ただ。
僕のコンビニ勤務当時の写真を見ると、
肌荒れがひどい。
やっぱり、
コンビニ食ばかりはよくない。
それが結論。