・目次
この物語は現実を基にしたフィクションです。
登場人物名は仮名です。
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【2002年6月下旬】
谷河原店長は、
当時とは別の場所の横須賀の中心の店で、
人を募集していた。
「僕が勤めようとした横須賀の岩越店長の近くの店は、
どうなったんですか?」
「あの店はいろいろあって別の経営者に引き渡したんだ。
だから同じチェーンだけど別のオーナーなんだよ。
で、今の主力はこの横須賀の中心店と、
あちらの海岸沿いの店の2店だよ」
あちらの海岸沿い…って、
あそこ、電車も通ってない相当な田舎だよね。
横須賀の外れも外れ。
「ああ、あちらの店の場合、
一番近い駅から自転車で20分って所だね。
岩越さんの店は辞めたのかい?」
谷河原店長と岩越店長は、
そもそもコンビニのチェーン自体が違うので、
同じ横須賀に店を構えていても、
ほとんど情報は分からない。
だから、詳しく状況を説明。
給料の遅延についても話してしまった。
「そうか……そりゃあひどかったね。
辞めるのもしょうがないね」
僕だって普通の面接なら話さないよ。
だけど谷河原店長は面識あるから、
自分都合でやめたわけじゃないという説明も必要だったし。
で。
「うちは社会保険無いけど、それでも良いかい?」
「え……ええ。いいです」
↑このとき僕は社会保険の大事さを知らなかった。
「なら採用だ」
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「で、今この横須賀の中心店は、
人が足りてるから、
行ってもらいたいのはあちらの海岸沿いの店なんだ」
あちらですか。
遠いなぁ…。
「電車で通うんですよね?」
「電車と自転車だな」
僕自転車乗れないよ…。
「あと、夜臨時で入ることもあるから、
そのときは車で通ってもらうことになるな」
僕、車の運転は…。
あまりに下手でひどいから自粛したところだよ…。
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結論を書くと、
採用は取り消された。
僕は普通自動車免許持ってるけど、
規定の2倍のお金を掛けて、
お情けでもらったような免許で、
とてもじゃないけど普通に運転なんか出来ない…。
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でも、気持ちはすぐ切り替えた。
「コンビニって何かどこも似たようなもんだな…。
どんなに順調に見えてもライバル店が出来たら、
終わりのことも多いし…
社会保険が無いのも良くないよな…。
(これは店により異なるが)
よし!もうコンビニは辞めだ!
きちんと社会保険がある大きい会社に勤めよう!」
続く。